中小企業の知的財産活用(2)

 

前回、知財活用とは、知的財産を「見える化」することだと申し上げました。知財に形をつけて見えるようにすると、社員さんが自社技術にプライドが持てるようになり、社内が活性化するという話でした。その文脈で「下町ロケット」における「佃プライド」や佃製作所の社員一丸となった強さも理解できるわけです。

 

これは知財活用の一例で、すべてではありません。今回は、広い視野から知財活用を俯瞰したいと思います。

 

8つの知的財産活用パターン

 

知財活用にあたって、自社の立ち位置を客観的に知ることが大切だと考えています。仮にすでに特許を所有されているとしても、「活用=他社との闘い」という考え方は、正しくありません。「活用=他社との関係強化」という全く反対の活用もできるからです。

特許庁の調査事業や自治体の支援事業などに参加されている土生哲也氏(土生特許事務所)は、知財活用で成功している地域の中小企業とたくさんのインタビューをこなし、知財活用のアンケートを行っています。同氏の調査によると、8つの知財活用パターンがあるそうです。

 

1.他との違いを「見える化」する

自社製品のどこに特許があるか、自社製品のイラストに特許をマッピングした「特許マップ」を作って営業支援ツールとして使っている会社もあります。

 

2.工夫の成果を企業の財産にする

技術者が転職してしまうと、一緒に自社の技術も流出してしまうという悩みを抱える企業が多くあるそうです。人とともに技術が散逸してしまう問題です。開発した資産である技術を「財産」として管理する内向きの活用も知財活用です。

 

3.創意工夫の促進で社内を活性化する

社内の経験や知識を広く「知的財産」として捉え、文書化してファイリングしている会社があるそうです。ファイリングされる文書には、その知的財産を生んだ社員の名前が明記されるとのことです。このファイリング担当者の方は、「社内特許庁」と言われているそうです。これは、別の言い方をするとバーチャル特許庁なんですね。

 

4.ライバル企業の動きをコントロールする

ライバルの活動を止めるのではなく、逆に特許をライセンスして、市場を広げることを狙った活用です。

独占して止めようとすれば、ライバルも特許を回避したり、潰そうという動きになります。特許をライバルに使ってもらうことにより、逆向きの動きに転換することができます。自社が潰されるリスクを避けることができます。ライバルにとってもリスクのある係争を避けて、そこそこの利益を得ることが可能になり、共に市場を育てていくことが可能になります。

 

5.取引先との交渉力を強化する

よくある悩みとして、納品先に特許を抑えられて、価格交渉力が低下するということがあるそうです。必要な特許を確保しておけば、価格交渉力をキープする効果があります。

6.顧客にオリジナリティを伝える

自社技術に名前を付けて、取引先にPRする。

福岡県の研磨会社さんは、自社の技術に「金属化粧師(登録商標)」と名前をつけて営業しているそうです。

 

7.パートナーとの関係をつなぐ

 

8.顧客の安心を保障する

 

少し駆け足でしたが、知財活用パターンは以上です。

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