知財の未来小説 の記事一覧

AIは弁理士の仕事を奪うのか?

10年~20年後に80%以上の確率で弁理士もAIで代替される!

 

中央公論4月号の特集記事で取り上げられた英オックスフォード大学と野村総研との共同研究の試算ではこのようになっています。

 

弁理士の主要な仕事が、法律や審査基準に基づく決まり事や形式を満たす知識を要求している点に着目して試算されたのでしょう。

 

実は、私は「AIが仕事をやってくれるなら、こんないい時代はない」と密かに思っておりました。元々、AIのベンチャー企業に在籍していたこともあり、自らの仕事をルーティン化して、仕事の質とスピードを上げたいと考え、仕事の手順、計画、時間管理にかなりの労力を割いています。そうした労力の成果をAIに吸収してもらい、私には思いも付かなかったノウハウを生み出してほしいものです。

 

高確率でAI代替ができるというなら、今の内にAIへの代替を前提とした特許事務所を考えてみるのも悪くありません。

 

弁理士業務のAI代替でまず考えたこと

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近未来小説:2025年の知財権 最終回

AIの知能

 

人間の知能にあってAIにない能力は、パターン認識と常識的判断と考えられてきました。医療画像の診断、会計処理の申告書作成、銀行の融資審査、弁護士の判例調査、著作権侵害の調査そしてニュース記事の作成など反復作業するだけの人の仕事は大部分ロボットに置き換えられてしまいました。

しかし、ゴミ収集員、警察官、弁護士の法廷弁論、弁理士の明細書作成そして作家の仕事などは人間の仕事として残っています。これらの仕事は、パターン認識と常識が必要であり、これまでAIが苦手としてきたからでした。

作機28号はパターン認識機能と常識的判断機能とを備えているようですね。受賞したという事実から考えても、人間の知能のレベルに追いついてきていると判断してよいでしょう。それでも、現行の著作権法において、AIの知能的活動の成果を保護対象と解釈する余地はないでしょう。著作権法で定義された著作物は、人間の「思想又は感情」を表現したものだからです。

 

AIの人権

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近未来小説:2025年の知財権 第2回

2025年の作機

 

作機28号への仕事の依頼は簡単である。

音声と画面で作品の仕様を尋ねてくるので、答えていけばよいのだ。

 

落ちは悲劇か喜劇か?

主人公は、神、英雄、普通より優れた人、普通の人、劣った人のいずれか?

主題は何?

プロットは何?

・・・・・・・?

・・・・・・・・・?

 

これら対話で答えた項目、僕の知らないネットワーク経由で収集された素材、素材に係る物語など1万以上の次元の項目から、物語の構造と構造に収まる「文字という記号」が出来上がり、アウトプットされる。

 

落ち、主人公、主題、プロット、収集された素材、その物語などは、すべて個別のノードとして扱われ、それぞれの項目からは他の項目へと、あるいは別の層(隠れ層)のノードへと接続していく。

 

その隠れ層のノードは、さらに別の隠れ層のノードに接続していく。各ノードは、それぞれエネルギー関数をもっていて、それぞれに繋がれた他のノードからの入力によって活性化され、さらに他のノードに出力する。

 

最後の層のノードについては、その層の活性化されたノードが作る幾何学模様の美しさを評価し、創造スコアを出していく。

 

作家としての創造性は、その時代の価値観を反映し、時間に対して相対的ものであるから、情報収集して創造スコアも相対的に変化するようにするところが作機開発のポイントである。筆は相当に速く、1万文字程度のショート・ショートの作品に設定しておけば、3分で3作品が出来上がる。

 

まだまだ試作の段階で、3つに一つは、かなり創造性のレベルが低い印象だ。3つに一つは、それなりに満足できるレベルである。

 

僕の感性だけでの創造性判断では客観性に欠けるので、検証が必要であった。そうした検証の一つであるS氏賞に受賞したのだ。

 

弁理士に相談

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2025年の知財権 第1回

(これは、次世代知的財産制度が時代に追いついていけなかったときを想定した架空の物語です。)

著作物  思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

_____著作権法2条1項1号

 

保護を受ける著作物 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を含む。以下同じ。)の著作物

_____著作権法6条1号

 

2025年、知的財産法は、改正が繰り返されながらも、保護対象とする知的財産とは人間の知能的活動によって生み出された成果物であるというスタンスを未だ維持していた。

 

 受賞

 

S氏賞を受賞してしまった。 続きを読む