バーチャル特許部とは?

 

「バーチャル特許部って何ですか?」

「どういう意味の言葉ですか?」

 

名刺の「バーチャル特許部(登録商標)」などと印刷しているもので、頻繁に受ける質問です。

 

NHKの朝ドラ「あさが来た」の加野屋が時代の変化に対応して両替商から銀行に代わっていくように、バーチャル特許部も知財部のないベンチャー企業の知財コンサルティング業務から、知財のブログへと変貌してきました。たぶん、5年後は違う顔を持っていることでしょう。

 

加野屋がお金を扱うというコンセプトを継続しているように、知財を扱うというコンセプトさえ一貫してさえいれば、いろいろな顔を持ってよいと思っています。

 

 バーチャル特許部員 七変化

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特許戦略「本」の読み方

特許に関心を寄せる方々の多くは、特許戦略について書かれた本を読まれていると思います。

 

うまいこと考えるものだ。しかし、この戦略を自社に使えるのだろうか?

 

特許訴訟を題材としたスリリングな展開の小説を読んだ後と同様の感想を感じられる方も多いと思います。「特許がすごい効果を発揮することがあるけれど、自社には、当てはまらないのでは?」という感想ですね。

 

そこで、実用的な特許戦略「本」の読み方を考察してみたいと思います。

 

特許の役割に注目する読み方

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良い特許出願 (3)

 

前回、「バランスのとり方は、そのアイデアの先行技術、市場性、そして戦略により、変わってきます」と申し上げました。先行技術としては、丸い鉛筆と世界最初の板状鉛筆だけを考慮して、実現性があるならば自由に権利範囲を描ける場合の話をしました。

 

今の時代では、こんなに自由に権利範囲の境界を引ける技術分野は、非常に少ないです。

 

先行技術による制約や市場性を考慮して、自社の発明のポジションを「見える化」しないと、文書表現上の上位概念を仕上げても「書いてみるだけ」の特許出願となる可能性があります。

特許の権利範囲の書き方で損をした例ばかりが、ドラマ等で紹介されて、この部分ばかりに意識が向かう発明者も多いです。

 

そこで、広い特許を狙うための考え方を考察してみたいと思います。

 

広い特許を狙うための「見える化」

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良い特許出願 (2)

 

前回、良い特許とは「広い特許と強い特許との間で、拒絶や無効のリスクと市場を獲得するチャンスとのバランスが取れた特許」と申し上げました。

 

丸い鉛筆しか市場にない時に、鉛筆が転がって困ると考えた発明者が「六角形の鉛筆」の鉛筆を発明した時に、どういう風にバランスをとっていくのか、考えてみたいと思います。

 

 リスクとチャンスのバランスの取れた特許

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良い特許

良い特許出願

鉛筆

「丸い鉛筆が使われている世の中で、六角形の断面を持つ鉛筆を発明したら、どのような特許を狙いますか?」

 

広い特許を説明する例題として有名です。

「六角形の断面を持つ鉛筆」では、勿体ないということで、講師が解説をしていきます。

この発明の本質は、転がらないことにある。だから、「多角形の断面を持つ鉛筆」とか「重心が断面の中心にない鉛筆」とか様々な書き方あります。広い概念で考えましょう、というわけです。

 

広い概念で特許を取得しておけば、他社の特許回避を防ぐ良い特許になります、という落ちになる話です。

 

ところで、本当にそうなのでしょうか? 現状販売されている鉛筆のほとんどは、円断面か六角形断面で占められています。

 

例題のように丸い鉛筆が使われている世の中で「六角形の断面を持つ鉛筆」の特許を持っている会社にとって、ライバルが五角形とか、七角形の鉛筆とか売れそうにない鉛筆製造に投資してもらえる状況はむしろ好ましいようにさえ思えます。ライバルを厳しい状況に誘導するというのも一つの競争戦略ですから。

 

さらに広い特許は、拒絶や無効になりやすいという問題もあります。

 

強い特許⇔広い特許

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中小企業の知的財産活用(5)

中小企業の知的財産活用(5)

 

「せっかくヒットしたのに特許を他社に使わせてしまうなんて、もったいない!

うちやったら、新工場を建てて、大増産ですわ。」

 

前回の競合とつながる「橋」としての特許活用を読んで、このように心の中で呟いた経営者の方もおられると思います。今回は、新工場を建てて、大増産から始まった「橋」の事例です。

 

商品ジャンルの確立のための特許開放

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中小企業の知的財産活用(4)

中小企業の知的財産活用(4)

 

「うちが、特許権を取って、何に使うんですか?」

経営者の方々でこのようなストレートな疑問を抱いている方も多いと思います。

特許法を学び始めた頃、よく問われる「特許権の本質は何ですか?」という質問と根っこで共通する質問です。

 

法律の試験で、あるいは、法律の専門家として正解とされるのは、「排他権」です。

つまり、自社の技術を模倣されないため、市場を独占するため、ライバルの参入を防ぐ参入障壁の機能が本質である、とするのが特許法の考え方です。

 

排他権と言われても、「うちは、ライバルを追い出したいような市場もないし、自社技術は外からわからないから他社は真似できませんよ」という経営者の方もおられると、思います。特許権をライバルに敵対する「壁」としてしか活用できないと、お考えでしたら、もったいないような気がします。特許権は、ライバルを追い出すためにも使えますが、仲間なってもらうためにも使えます。

 

競合とつながる「橋」としての特許

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中小企業の知的財産活用(3)

中小企業の知的財産活用(3)

 

前回、8つの知的財産活用パターンをご紹介しました。

この中で何か一つを取るならば、断然、知的財産の「見える化」です。ここがすべての始まりであり、ここが出来ていれば色々な可能性にチャレンジすることが出来ます。

 

先週末に国際ロボット展 http://biz.nikkan.co.jp/eve/irex/ を見てきました。ここで知的財産の見える化を上手にやっている中小企業として、しばしば紹介される株式会社ナベルがブース出展をしていることを見つけました。

ロボット写真

ロボット技術としての蛇腹

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中小企業の知的財産活用(2)

中小企業の知的財産活用(2)

 

前回、知財活用とは、知的財産を「見える化」することだと申し上げました。知財に形をつけて見えるようにすると、社員さんが自社技術にプライドが持てるようになり、社内が活性化するという話でした。その文脈で「下町ロケット」における「佃プライド」や佃製作所の社員一丸となった強さも理解できるわけです。

 

これは知財活用の一例で、すべてではありません。今回は、広い視野から知財活用を俯瞰したいと思います。

 

8つの知的財産活用パターン

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中小企業の知的財産活用

中小企業の知的財産活用

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「下町ロケット」(池井戸潤著)が、2度目のテレビドラマ化されて好評を博しています。帝国重工という大企業を相手に中小企業の佃製作所が特許権を盾に互角に渡り合っていくストーリーには、感動させられるものがあります。

 

中小企業の経営者の方々にも、このドラマに大変感化されて、このドラマで知的財産の大きな可能性に思いを馳せた方がたくさんおられると思います。ただ自社の経営の中で知的財産を活用することを考えたとき、特許権とか商標権と経営との係りにリアリティを感じられない方が大半なのではないでしょうか?

 

自社では取得している特許はまだないとか、数件しか特許を取得していないといった中小企業が特許権を巡ってのドラマチックな係争を展開するというのは、私にもリアリティが感じられません。

 

しかし、「佃プライド」には、ドラマの世界を離れても知的財産との関係でリアリティのある内容があります。今回は、知的財産を活用して「佃プライド」的なものを社内に芽生えさせようという提案をさせていただきます。

 

 知的財産活用と中小企業のプライド

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