知的財産法の保護対象(3)著作権法

知的財産法の保護対象(3)著作権法

 

前回は、特許法の保護対象ではないということを理由で拒絶の憂き目に遭っていたビジネスモデル特許も、定番の対応があり、特許として保護されうるということを書きました。この定番の対応は、人工知能、特に人と同じように考えるような汎用人工知能の発明についても、ある程度有効になるだろうと考えています。まー、実務家としては、この問題を掘り下げるのは、具体的事案が現れてからでもよいでしょう。というか、具体的事案への積み重ねによって、対応の方法が固まっていくものでしょう。

 

さて今回は、著作権法の保護対象についての話を、人工知能による創作という問題から述べてみたいと思います。

 

 著作物の定義

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知的財産法の保護対象(2)特許法

知的財産法の保護対象(2)特許法

 

前回は、特許法の保護対象ではないということを理由に拒絶の憂き目に遭うコンピュータシステム発明、特にビジネスモデル特許の話でした。今回は、その拒絶理由を回避するために、どのようにすれば、よいのか、という話です。

 

今の特許審査基準から「発明」に該当しないものとされる「自然法則を利用していないもの」の説明を抜粋すると、以下のとおりです。

 

<自然法則を利用しないもの>

請求項に係る発明が、自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為的な取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば、ビジネスを行う方法それ自体)は、その発明は、自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しない。

逆に、発明を特定するための事項に自然法則を利用していない部分があっても、請求項に係る発明が全体として自然法則を利用していると判断されるときは、その発明は、自然法則を利用したものとなる。

 

ここで、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合、当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるというのが、特許庁の見解です。私達弁理士は、「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」いることを主張する根拠になる事項を、予め特許出願書類から抜き出して、特許庁審査官の拒絶理由に打ち勝つ主張を組み立てるところで腕が試されてきました。

 

最近では、ベテラン弁理士であれば、「自然法則を利用した技術思想の創作とはいえない」などと言わせない出願書類の書き方をしていると思われます。

 

前に述べた特許審査基準では、その書き方をもう少し突っ込んで述べています。

「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」とは、ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されることをいう。

そして、上記使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法は「自然法則を利用した技術的思想の創作」ということができるから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合には、当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。

 

人工知能が知的財産法に与えるインパクト

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知的財産法の保護対象(1) 特許法

バーチャル特許部開設によせて、知的財産法、まずは特許法の保護対象について、最近ニュースに頻出する人工知能に絡めて話をしたいと思います。人工知能は、5年後にはビジネスシーンで使われることが当たり前になって、人工知能を利用したビジネスの発明の特許出願が増えることが予想されるからです。近年の特許出願において、スマホを利用したビジネスモデルに関するものが大量に見られるのと同様の状況が生まれると思われます。
人工知能本体やスマホ本体の発明は、大手大企業や研究所にしかできないかもしれませんが、それらを利用したビジネスモデルの発明は誰にでも手が届くところにあります。そして、スマホのインフラを利用したフェースブックやラインがあっという間に成長したように、今後の人工知能の利用にすごいチャンスを感じさせます。

本題に戻りましょう。

特許法の保護対象

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