前回、特許庁からの拒絶理由通知書を米国風にファースト・アクション(First Action)と呼んだ方が実態に即していると述べました。出願の権利化という観点から拒絶理由通知書を別の呼び方をしてみたいと思います。

審査のハンドル

審査のハンドル

拒絶理由通知書は、大部分の場合、審査官から出願人に送付される最初のお手紙となります。「拒絶」というタイトルがその本質を見えなくします。私は、「審査のハンドル」とイメージして、応答しています。

 

「出願に係る発明が、どういう方向に行けば権利化できるのか?」「どこがダメなのか?」

「審査官は、発明をどのように捉えているのか?」「こちらの意図する発明とは別物と理解しているのか?」

といった審査官の意図や理解が込められたお手紙です。そして、うまくタッチすれば(=応答すれば)、審査という自動車が正しい方向に進んでくれます。

 

このように話すと、受動的な感じですが、出願前の調査を確りしていれば、最初から特許へ向かう方向に切られたハンドル(=拒絶理由通知書)をもらうことも可能です。この辺は、具体的な事情によって、ある程度厳しい方向に切られたハンドルをもらう覚悟で出願する場合もあるので、特許一直線の拒絶理由通知書がベストとは限りません。特許に向かう方向づけをする前にダメな方向をハッキリさせる出願戦略もあります。

 

どのような出願戦略を取るにしても、どうすれば特許に向かうのかのヒントが含まれる内容の拒絶理由通知書を打ってもらうことが望ましいです。出願の発明と対比することによって、自社技術の特徴の境界がハッキリするような引用例を引いて拒絶理由を作成してもらえると、権利化に向かって楽な展開になります。

 

*引用例

特許庁の審査官が拒絶理由を構成するための根拠としている先行技術が記載された文献のことです。多くの場合、公開された特許出願が利用されます。

 

 

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